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2018年2月

2018年2月25日 (日)

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本・製作:ソフィア・コッポラ
原作:トーマス・カリナン「The Beguiled」
共同製作:ロマン・コッポラ、ユーリー・ヘンリー
製作総指揮:ロバート・オルティス、フレッド・ルース、アン・ルース
音楽:フェニックス
出演:コリン・ファレル、ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、アンガーリー・ライス、ウーナ・ローレンス、エマ・ハワード、アディソン・リーケ 他


  〈銃を持って怯えた女性は何よりも怖い〉


 ソフィア・コッポラ監督が第70回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したスリラー。南北戦争末期、女子寄宿学園に現れた招かれざる客の存在が女性たちの欲望をかきたて、秩序が乱れていく様をつづる。


 アメリカ南部。世間から隔絶された女子寄宿学園に、美しい女性7人が暮らしていた。ある日、負傷した北部の敵兵に遭遇した彼女たちは、屋敷へ運んで手当をする。女性に対して紳士的で美しいその男性と触れ合ううち、誰もが彼に心を奪われてゆく。しかし、次第に彼女たちは情欲と危険な嫉妬に支配されるように。秩序を守るのか、それとも、欲望を選ぶのか。彼女たちが最後に下した決断とは…?


 本作は「白い肌の異常な夜」(1971年/ドン・シーゲル監督/クリント・イーストウッド主演)を、女性側に視点を変えてリメイクしたものである。どことなく官能的で耽美な映像や、繊細な心理描写はソフィア・コッポラ監督らしいといえるが、視点を変えてしまったことでサスペンスの度合いが薄まってしまった。


 突然現れた男性の存在により、まさに欲望がめざめ、心が揺れ美しくなろうとする女性たちの心理は分からなくもないが、淡々としたシーンの連続は、些か平凡で退屈である。この監督の作品には常連のキルスティン・ダンストは、本作でも重要なキーパーソンとなる役を演じていてさすがに良いなと感じさせるのだが、他はキャスティングが活かされておらず、最後まで違和感が残る。せっかく映像は美しいのに、もうちょっとストーリーに力を入れてほしかった。


私の評価…☆☆★

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2018年2月23日 (金)

今夜、ロマンス劇場で

今夜、ロマンス劇場で
今夜、ロマンス劇場で
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:武内英樹
脚本:宇山佳佑
製作:上原寿一、菊池美世
音楽:住友紀人
主題歌:シェネル「奇跡」
出演:綾瀬はるか、坂口健太郎、本田翼、北村一輝、中尾明慶、石橋杏奈、西岡徳馬、柄本明、加藤剛 他


  〈古き良き時代の映画らしいラブ・ファンタジー〉


 モノクロ映画の中から現実世界へと飛び出したヒロインと、彼女に恋する映画監督志望の青年の淡い恋を描く、綾瀬はるか主演のロマンティックなラブストーリー。


 映画監督を夢見る青年・健司(坂口健太郎)は、ある日、通い慣れた映画館のロマンス劇場で、一人の女性と出会う。彼女は、健司が長年憧れていたスクリーンの中のお姫様・美雪(綾瀬はるか)だった。モノクロ映画の世界から飛び出した美雪が、カラフルな現実世界を体験していくなか、二人は次第に惹かれ合っていく。だが映画会社の社長令嬢・成瀬塔子(本田翼)も、健司に密かに思いを寄せていた…。


 これまたツッコミどころは多々あれど、映画愛に溢れる映画で、洋画なら「カイロの紫のバラ」(1985年/ウディ・アレン監督/ミア・ファロー主演)や「オズの魔法使い」(1939年/ヴィクター・フレミング監督/ジュディ・ガーランド主演)、その「オズの魔法使い」の無声映画「笑国万歳」(1925年/ラリー・シモンズ監督/ドロシー・ドワン主演)、「カラー・オブ・ハート」(1998年/ゲイリー・ロス監督/トビー・マグワイア主演)に「カサブランカ」(1942年/マイケル・カーティス監督/ハンフリー・ボガート主演)、邦画では「狸御殿」や新東宝の一連のエログロ路線映画といった数々の映画へのオマージュがたっぷり入っている。一応、オリジナル脚本なのだが、オマージュがあり過ぎて、ちっともオリジナルっぽくない(笑)。


 まぁ、現代のシーンで余命幾許も無い老脚本家(加藤剛)が、入院先で若い女性看護師に、昔書いたという未完のシナリオを読み聞かせる場面で、ある程度先が読めてしまうが、限りある命の者と、“ある事をしない限り”永遠に有り続ける存在との愛は、とても切ない…。この“ある事をしない限り”… は話の根幹に関わる事なので、ここでは言えないが、この設定を利用したガラス越しのキス(今井正監督の反戦映画の名作「また逢う日まで」のオマージュ)シーンが、とても印象的だった。


私の評価…☆☆☆

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2018年2月21日 (水)

グレイテスト・ショーマン

グレイテスト・ショーマン
グレイテスト・ショーマン
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:マイケル・グレイシー
脚本:ビル・コンドン、ジェニー・ビックス
原案:ジェニー・ビックス
製作:ピーター・チャーニン 他
製作総指揮:ジェームズ・マンゴールド 他
音楽:ジャスティン・ポール、ベンジ・パセック、ジョン・デブニー、ジョセフ・トラパニーズ
出演:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン(歌部分はローレン・アレッドによる吹き替え)、ゼンデイヤ、カーラ・セトル、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、オースティン・ジョンソン、キャメロン・シェリー、サム・ハンフリー、シャノン・ホルツァプフェル 他


  〈異形や女性というだけで蔑まれてきた人達への人生讃歌、万歳!〉


 19世紀半ばのアメリカでショービジネスの原点を築いた実在の興行師、P.T.バーナムをヒュー・ジャックマンが演じるミュージカル映画。


 19世紀半ばのアメリカ、P.T.バーナム(ヒュー・ジャックマン)は幼なじみの妻チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)を幸せにしようと挑戦と失敗を繰り返してきたが、オンリーワンの個性を持つ人々を集めたショーをヒットさせ、成功をつかむ。しかし、バーナムの型破りなショーには根強い反対派も多く、裕福になっても社会に認めてもらえない状況に頭を悩ませていた。そんななか、若き相棒フィリップ(ザック・エフロン)の協力により、イギリスのヴィクトリア女王に謁見するチャンスを得る。バーナムはレティ(キアラ・セトル)たちパフォーマーを連れて女王に謁見し、そこで美貌のオペラ歌手ジェニー・リンド(レベッカ・ファーガソン)と出会う。彼女のアメリカ公演を成功させれば、一流のプロモーターとして世間から一目置かれる存在になると考えたバーナムは、ジェニーのアメリカ・ツアーに全精力を注ぎ込むため、団長の座をフィリップに譲る。フィリップは一座の花形アン(ゼンデイヤ)との障害の多い恋に悩みながらも、ショーを成功させようと奮闘する。しかし、彼らの行く手には、これまで築き上げてきたものをすべて失うかもしれない波乱が待ち受けていた…。


 「ジオストーム」の項で、それを観る前に試写会で観た映画があると書いていたのだが、これがその映画である(試写会で飽き足らず公開してからIMAXでも観てしまった 笑)。


 P.T.バーナムといえば、昨年解散したアメリカの人気サーカス団である「リングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカス」の創設者の1人であり、そのサーカス団は映画「地上最大のショウ」(1952年/アメリカ/セシル・B・デミル監督/チャールトン・ヘストン主演)で描かれるサーカス団のモデルとなっている。本作は、そのリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスの前身となるサーカス団「The Greatest Show on Earth」(映画のタイトルはこれに由来する)が成功するまでの、栄光と挫折を描いていく。


 この映画、予告編等の宣伝では“「ラ・ラ・ランド」のスタッフが製作… ”なんて事が書かれていたが、実際は「ラ・ラ・ランド」にも関わっているのは音楽担当のベンジ・パセックとジャスティン・ポールのみである。ラストにも繋がるオープニングの“The Greatest Show”を始め、アカデミー歌曲賞候補にもなっている“This Is me”など、印象に残る曲が多い。


 一般の観客には概ね評価されているが、批評家筋には批判的な評価も結構ある。確かに歌やダンスといったパフォーマンスに比重を置いた分、人間ドラマとしては薄くなってしまった。また、主人公の人物像は美化された部分も多く、恐らく批判の的はその辺に向いているのだろうが、よく考えてみたらこの時代のアメリカは、今と違って肌の色が違ったり女性というだけで人権すら無かった時代である。それをそのまま描いたら、ミュージカルになり得ただろうか。商業的な映画としては成り立っても、物凄く暗い話になってしまい、とても観られたものにはならなかっただろう。劇中のバーナムのセリフに、

「批評家の評価は悪くても、私の公演から出てくる観客は皆笑顔で出てくる。」

という言葉が出てくるが、正にこの映画自体がそれを物語っていると思う。この映画を観て、暗い顔で劇場を出る者など1人もいないだろう。勿論、容姿や性別で差別を受けた者の悲哀といったテーマが内包されているので、観る側もそういった背景をちゃんと考えて観ないといけない。


 そして、本作で“ヒゲ女”レティが歌う“This Is Me”に、蔑まれてきた人達の思いが全て込められている。

“痛烈な言葉で私を
傷つけようとしても

私はそれより大きな力で
それらをかき消すわ

これこそが勇敢の証
これがありのままの自分で

本当の私なの”

人間というものは、挑戦と失敗を繰り返していく、“光と影”を併せ持つ。それら凡てを前向きに捉え、差別や偏見に対峙し、家族や仲間との愛と友情を高らかに謳い上げた感動作である。


私の評価…☆☆☆☆★

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2018年2月15日 (木)

不能犯

不能犯
不能犯
劇場:TOHOシネマズ梅田
監督・脚本:白石晃士
共同脚本:山岡潤平
原作:宮月新(画・神崎裕也)「不能犯」
製作:岡田美穂 他
製作総指揮:吉條英希
音楽:富貴晴美
主題歌:GLIM SPANKY「愚か者たち」
出演:松坂桃李、沢尻エリカ、新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍、永尾まりや、鈴之助、森岡豊、松本享恭、松澤匠、タイチ、松元絵里花 他


  〈コメディ色を抜いた「笑ウせぇるすまん」〉


 グランドジャンプ連載の人気コミックを松坂桃李主演で映画化したサイコスリラー。赤く光る目で見つめるだけで人の心を操る男、宇相吹と、その力が唯一効かない刑事の多田との対決の行方が描かれる。


 検死をしても何一つ証拠が出てこない不可解な変死事件が連続して発生。これらの事件のただ一つの共通点は、事件現場で必ず黒スーツに身を包んだ宇相吹正(松坂桃李)が目撃されていることだった。彼こそは、ある電話ボックスに殺人の依頼を残しておくとどこからともなく現れ標的を確実に死に至らしめるとSNSで噂されている、電話ボックスの男だった。死因は病死や自殺に事故と、いずれも立件できないようなものばかり。そんな不能犯・宇相吹のもとに、愛憎や嫉妬、欲望にまみれた人々が今日もやってくる。警察は宇相吹の身柄を確保し任意で取り調べを開始。多田(沢尻エリカ)と部下の百々瀬(新田真剣佑)が見守る中、上司の夜目(矢田亜希子)が彼の取り調べにあたるが、次第に夜目の様子がおかしくなり…。


 あまり期待はしていなかったが、そこそこ面白かった。観ているうちに思ったのが、映画に出てくるエピソードの構成が、藤子不二雄Aの「笑ウせぇるすまん」に似ていることだ。まぁ、「笑ウ~」の喪黒福造も本作で松坂桃李が演じる宇相吹正(うそぶき・ただし)も、どちらも主人公でありながら傍観者の立場をとる、所謂狂言回しの役割なので、似ている感じがするのだろう。「笑ウ~」からコメディ色を排除し、松坂桃李が“ずんぐりむっくり”にならずそのままの容姿で、超ブラックな“喪黒福造”を演じれば、こうなるかという感じである。


 ただ、これはどちらかというと、映画よりも連続TVドラマ(或いはアニメ)向きのような気もする。映画の内容も、原作からエピソードを抜き出して、適当に繋ぎ合わせただけのような感じだ。標的を死に至らしめる場面も、最初の“事件”以外は映画としては画的にショボい。


 本作とは別プロジェクトで松坂と沢尻エリカ他、警察側の人間を同一キャストで描いたdTVオリジナルドラマが全5話製作(第1話が本作と連動している)されており、映画版の製作主幹であるカンテレ(関西テレビ)でも4話まで(最終話はdTV配信のみ)深夜に放送されたが、そっちは観ていなかった。ソフト化されたら観てみようかなと思う。


私の評価…☆☆☆★

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2018年2月13日 (火)

劇場版マクロスΔ(デルタ) 激情のワルキューレ

劇場版マクロスΔ(デルタ) 激情のワルキューレ
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・絵コンテ・バルキリーデザイン:河森正治
脚本:根元歳三、河森正治
原作:河森正治、スタジオぬえ
制作会社:サテライト
製作:ビックウエスト、劇場版マクロスデルタ製作委員会
音楽:鈴木さえ子、TOMISIRO、窪田ミナ
主題歌:ワルキューレ「Dancing in the Moonlight」
声の出演:ハヤテ・インメルマン…内田雄馬、フレイア・ヴィオン…鈴木みのり、ミラージュ・ファリーナ・ジーナス…瀬戸麻沙美、美雲・ギンヌメール…(声)小清水亜美/(歌)JUNNA、カナメ・バッカニア…安野希世乃、レイナ・プラウラー…東山奈央、マキナ・中島…西田望見、アラド・メルダース…森川智之、メッサー・イーレフェルト…内山昂輝、チャック・マスタング…川田紳司、アーネスト・ジョンソン…石塚運昇、ロイド・ブレーム…石川界人、キース・エアロ・ウィンダミア…木村良平、ボーグ・コンファールト…KENN、ヘルマン・クロース…遠藤大智、カシム・エーベルハルト…拝真之介、テオ・ユッシラ/ザオ・ユッシラ…峰岸佳、ハインツII世…(声)寺崎裕香/(歌)メロディー・チューバック 他


 〈2クールのTVアニメの再編集版としてはまとまりが良い〉


 2016年に放映されたTVアニメ「マクロスΔ(デルタ)」の劇場版。劇場化にあたり、全26話のTV版ストーリーを大胆にスクラップ&ビルドし再構築。ワルキューレの新曲によるライブ・シーン、新ディティールによるメカ、戦闘シーンを制作。新作カットや大幅なシーンの描き直しを追加した。


 西暦2067年。銀河系外縁のブリージンガル球状星団では、人間が突如自我を失い凶暴化する謎の奇病“ヴァールシンドローム”が猛威を振るっていた。そんななか、歌が発する特殊な生体フォールド波が、奇病に有効であると発見した星間複合企業体・ケイオスは、戦術音楽ユニット「ワルキューレ」を結成。これを援護する可変戦闘機部隊“デルタ小隊”と共に星々を駆けめぐり、ヴァールシンドローム鎮圧を行っていた。一方、時を同じくして、“空中騎士団”と呼ばれる「風の王国」の可変戦闘機部隊が動き始め…。


 前作の「マクロスF(フロンティア)」が未だに人気が高く、「~デルタ」の劇場版製作がなかなか決まらなかったらしいが、過去の「マクロス」シリーズは全て劇場用映画化されてきたので、デルタもあるだろうなと思っていた。ただ、続編ではなくTVアニメ版の再編集なので、ストーリーそのものの流れや結末は変わらない。だからTVアニメ版を観ている人には新鮮味は無いだろうが、やっぱりワルキューレ(主人公が属するアイドルユニット)のライブ場面や、バルキリーのドッグファイトはCGを多用してブラッシュアップされており、巧みな編集で釣瓶打ちになっているので、この辺は映画ならではの醍醐味といえるだろう。オッサン世代には、クライマックスで美雲さんが歌う「愛、おぼえていますか」が胸アツになる事間違いなし(笑)である。


私の評価…☆☆☆★

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2018年2月 7日 (水)

アバウト・レイ 16歳の決断

アバウト・レイ 16歳の決断
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:ゲイビー・デラル
共同脚本:ニコール・ベックウィズ
製作:ドロシー・バーウィン 他
音楽: ウェスト・ディラン・ソードソン
出演:エル・ファニング、スーザン・サランドン、ナオミ・ワッツ、テイト・ドノヴァン、サム・トラメル、マリア・ディッツィア、テッサ・アルバートソン、リンダ・エモンド 他


  〈“娘”が突然“息子”になった母の苦悩〉


 エル・ファニングがボーイッシュな装いでトランスジェンダーの主人公を演じるヒューマンドラマ。男の子として生きる決断をした主人公と、子供の突然の告白に動揺しながらも温かく見守ろうとする母親や祖母の姿を描く。


 性自認が男性である16歳のレイ(エル・ファニング)は、心身ともに男の子として生きることを決断。母親マギー(ナオミ・ワッツ)は、医師が差し出してきたホルモン治療など見慣れない資料に呆然とし、動揺を隠せない。そしてそんな心の迷いを近くに住む青年にぶつけて、流れるままに一夜を共にするなど、動揺は暴走していく。一方、レズビアンであることをすでにカミングアウトし、最愛のパートナーとの暮らしを謳歌しているおばあちゃんのドリー(スーザン・サランドン)は、レイの新しい人生への一歩を密かに応援していた。レイは髪を短く切り、トレーニングをして、本来の姿を手に入れようと努力する。そんなレイの成長を見つめていたマギーは意を決し、治療の同意書のサインをもらうため、別れた夫クレイグ(テイト・ドノヴァン)に久しぶりに会いに行く。しかし、困惑する元夫は賛成してくれない。見かねたレイは、マギーに黙って父を訪ねていくと、そこでまさかの家族の秘密を知る…。


 本来ならこの映画は約2年前に公開されているはずだったが、延期になっていた。理由としては、LGBTを少々差別的に描いている場面があるので、関係団体がこれに噛み付き抗議したためとか、色々噂がたてられたが結局真相は不明。先頃セクハラ問題で失脚したプロデューサーのハーヴェイ・ワインスタインが、作品のクオリティーを上げるために、何度も編集を繰り返した事で、完成が遅れたという話もあるが、その段階でタイトル(原題)も「Three Generations」から「About Ray」となり、またもとに戻るなど二転三転したらしく、本来なら性適合手術を受ける娘の苦悩と葛藤をメインに据えるはずだったものが、どちらかというと、ナオミ・ワッツ演じるダメ母の苦悩を描くことにシフトしている。


 日本公開版の予告編はつとめて明るい雰囲気だが、本作の登場人物は誰もが深刻な心の傷を持っているため、とても笑える映画ではない。勿論微かな救いはあるが、誰もが観て喜べる映画ではないだろう。スーザン・サランドン婆ちゃんが、暗い雰囲気をちょっと和ませる存在なのが良い。エル・ファニング本人は当然女性なのだが、ワキ毛もボーボーに生やしたりして完璧に“ほぼ男”になりきっていた。やっぱりこの娘、表現力はダコタ姉ちゃんを超えてるネ!


私の評価…☆☆☆

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2018年2月 6日 (火)

ガールズ&パンツァー 最終章 第1話

ガールズ&パンツァー 最終章 第1話
ガールズ&パンツァー 最終章 第1話
劇場:T・ジョイ京都
監督:水島努
脚本:吉田玲子
アニメーション制作:アクタス
音楽:浜口史郎
主題歌:(OP)佐咲紗花「Grand symphony」、(ED)あんこうチーム [西住みほ(渕上舞)、武部沙織(茅野愛衣)、五十鈴華(尾崎真実)、秋山優花里(中上育実)、冷泉麻子(井口裕香)]「Enter Enter MISSION! 最終章ver.」
声の出演(多人数のため役名は省く):渕上舞、茅野愛衣、尾崎真実、中上育実、井口裕香、福圓美里、高橋美佳子、植田佳奈、菊地美香、吉岡麻耶、桐村まり、中村桜、仙台エリ、森谷里美、井上優佳、大橋歩夕、竹内仁美、中里望、小松未可子、多田このみ、山岡ゆり、秋奈、井澤詩織、井澤詩織、山本希望、石原舞、金元寿子、喜多村英梨、葉山いくみ、倉田雅世、上坂すみれ、佐倉綾音、高森奈津美、大地葉、米澤円、七瀬亜深、椎名へきる、明坂聡美、川澄綾子、伊瀬茉莉也、平野綾、早見沙織、小笠原早紀、佐藤奏美、田中理恵、生天目仁美、瀬戸麻沙美、大空直美、能登麻美子、下地紫野、石上美帆、竹達彩奈、藤村歩、飯田友子、中原麻衣、原由実、津田美波、安済知佳、愛河里花子、冬馬由美、川原慶久 他


 〈2代目生徒会長の運命や如何に?〉


 戦車を使った武道“戦車道”に勤しむ女子高生たちの青春を描き、人気を博したテレビアニメのその後を全6話で映像化した第1弾。


 学園存続を賭けた大学選抜チームとの試合に辛くも勝利し、大洗女子学園戦車道チームのメンバーたちは、ようやく平穏な冬の日々を過ごしていた。その一方では、3年生の卒業を控え、改選された生徒会では新執行部が始動するなど、小さな変化も始まっていた。そんなある日、彼女たちの上にある騒動が降りかかる。再び持ち上がった難問に立ち向かうため、戦車道チームが再始動する…。


 人気TVアニメの最終シリーズ。今回はTV放送ではなく、OVAとしてリリースが予定されているものを、映画館で先行上映するものである。廃校の危機を部活で救うという、「ラブライブ」と似たような設定なので、意地悪なようだが廃校の危機を乗り越えラストライブを行ったあの作品や、廃校が決まってラストとなった「ラブライブ サンシャイン」とは結末をどう変えてくるのかに注目したい。3年生の進路はどうやらほぼ決まっているようなので、とりあえずは2代目生徒会長・河嶋の留年(浪人?)危機からの脱却がメインテーマとなるのか。


 上映時間47分で全6話ということは、後でもしTV放送するようなら各話前・後編に分けて12話(1クール)で放送するのだろう。前にも書いたと思うが、この作品はもう、派手なドンパチさえあれば、ストーリーはほぼ気にせずに観られるので、これまでこのアニメを観た事の無い人でも楽しめると思う。最後(?)の戦車道大会もまだ第1試合が描かれただけ。残りの5話はまだ、いつ観られるのか分からないが、総合的な評価はやはり全部観てから判断したい。でも、やっぱり「ガルパン」は、いいぞっ!


私の評価…☆☆☆

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2018年2月 3日 (土)

スリー・ビルボード

スリー・ビルボード
スリー・ビルボード
劇場:MOVIX京都
監督・脚本:マーティン・マクドナー
製作:グレアム・ブロードベント 他
音楽: カーター・バーウェル
出演:フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ、アビー・コーニッシュ、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、キャスリン・ニュートン、ルーカス・ヘッジズ、アマンダ・ウォーレン、サマラ・ウィーヴィング、ジェリコ・イヴァネク、クラーク・ピーターズ 他


  〈人間が起こす行為は何を以て善なのか、又は悪なのか?〉


 とある田舎町で起きた殺人事件にまつわる騒動の行方を描き、数々の映画賞で話題を呼んだクライム・サスペンス。


 ミズーリ州の寂れた道路に掲示された巨大な3枚の広告看板。そこには警察への批判メッセージが書かれていた。設置したのは、7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)。犯人は一向に捕まらず、何の進展もない捜査状況に腹を立て、警察署長ウィロビー(ウディ・ハレルソン)にケンカを売ったのだ。署長を敬愛する部下(サム・ロックウェル)や町の人々に脅されても、ミルドレッドは一歩も引かない。その日を境に、次々と不穏な事件が起こり始め、事態は予想外の方向へと向かっていく…。


 この映画、予告編からかなり重たい内容の映画だと思っていたが、結構笑える台詞もあって面白い。アメリカの映画賞レースでもかなり話題になっているが、強烈な母親のフランシス・マクドーマンドと差別主義者の警官サム・ロックウェルが良い。娘をレイプされた上に殺された母の怒りと、本当は良い警官なのに、短気なところからなかなか認めてもらえない警官。2人の“怒り”は、作中唯一の人道主義者、ウディ・ハレルソン演じるウィロビー署長を触媒に相互作用し、怒りがまた別の怒りを生んでいく。


 そして、最終的にその振り上げた拳は収める場所を失ってしまい、犯人逮捕等というありきたりな結末とは全く異なる着地点へ導いていく。どことなくアメリカン・ニューシネマのような雰囲気を漂わせるラストシーンは、ちょっと「テルマ&ルイーズ」(1991年)に似ている(でもあの映画のような爽快感は無い)が、今や世界中に蔓延る憎しみの連鎖を断ち切るための、1つの答えなのかもしれない。


私の評価…☆☆☆☆

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