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2018年4月

2018年4月27日 (金)

パシフィック・リム:アップライジング

パシフィック・リム:アップライジング
パシフィック・リム:アップライジング
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:スティーヴン・S・デナイト
共同脚本:エミリー・カーマイケル、キラ・スナイダー、T・S・ノーリン
原案:スティーヴン・S・デナイト、T・S・ノーリン
原作(キャラクター創造):トラヴィス・ビーチャム
製作:ジョン・ボイエガ 他
音楽:ローン・バルフェ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ジョン・ボイエガ(中村悠一)、スコット・イーストウッド(小野大輔)、ケイリー・スピーニー(早見沙織)、菊地凛子(林原めぐみ)、チャーリー・デイ(古谷徹)、バーン・ゴーマン(三ツ矢雄二)、景甜(魏涼子)、アドリア・アルホナ(坂本真綾)、マックス・チャン(子安武人)、カラン・ブラル(花江夏樹)、イヴァンナ・ザクノ(森なな子)、ウェスリー・ウォン(畠中祐)、新田真剣佑(同)、シャーリー・ロドリゲス(春名風花)、リーヴァイ・ミーデン(石川界人)、リリー・ジー(逢田梨香子)、ラハート・アダムス(土屋神葉) 他


  〈何も考えなくていい、ただ目で観て楽しむのみ〉


 海底から現れたKAIJUと人型巨大兵器イェーガーとの戦いを描き、世界中で大ヒットを記録したSFアクションの続編。KAIJUとの死闘から数年が経ち、平穏を取り戻していたある日、進化したKAIJUが地上に出現。若きパイロットたちが新世代のイェーガーで戦う。


 人類とKAIJUの死闘から10年が経ち、地球には平穏が戻っていた。しかし、進化を遂げたKAIJUが再び現れ、世界を絶望の淵へと突き落す。若きパイロットたちは、よりスタイリッシュに洗練され、パワーアップを果たした新世代の人型巨大兵器“イェーガー”に乗り込み、KAIJUに戦いを挑む。


 これも全米では酷評だったのだが、そう悪いようには思えない。まぁ、科学的考証や人物設定が無茶苦茶なのは前作同様なので、今さら気にする必要もないのだが(笑)、内容が詰め込み過ぎで、中途半端な群像劇になってしまっているためか、各キャラクターの描写が浅くて全く感情移入できないのが欠点か。特に前半は退屈である。


 敵との全面戦争となる後半は、さすがに見応えがあって面白くなる。森マコ(菊地凜子)の退場は残念だが、交代する形で戦闘に参加する中国企業のツンデレ女社長(中国資本になったレジェンダリー・フィルムのお気に入りとなりつつある美人女優、景甜=ジン・ティエン)が、かなりいい味出している。意外な人物(?)が敵となったことでKAIJUが殆ど出てこないのも残念だし、東京のド真ん中に富士山がある(!)かのような描写も、なんだかなぁ~という感じだが、取り敢えず楽しめればそれでいいか~てなものなのかも。


私の評価…☆☆☆★

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2018年4月25日 (水)

娼年

娼年
娼年
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:三浦大輔
原作:石田衣良「娼年」
製作:小西啓介 他
音楽:半野喜弘 and RADIQ septet
出演:松坂桃李、真飛聖、小柳友、冨手麻妙、猪塚健太、西岡徳馬、江波杏子、桜井ユキ、馬渕英里何、荻野友里、佐々木心音、大谷麻衣 他


  〈松坂桃李の新境地?〉


 直木賞候補になった石田衣良の恋愛小説を、主演・松坂桃李、監督・三浦大輔のコンビで映画化したセンセーショナルなラブストーリー。


 大学生のリョウ(松坂桃李)は、大学生活に飽きバーでのバイトに明け暮れ、無気力な生活を送っていた。ある日、ホストクラブで働いている中学校の同級生・田島進也(小柳友)が、客の御堂静香(真飛聖)を連れ立ちリョウの勤めるバーにやってくる。女や恋愛に興味がないと言い放つリョウ。そんな彼に、静香はオーナーをしている秘密の会員制ボーイズクラブ『パッション』に入るための試験を受けさせる。戸惑いつつも娼夫として仕事をするうちに、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、やりがいを見出すように。そして彼を買った女性たちは、どんな女性の欲望も引き出す彼と時間を過ごすことにより、自分を解放していく。やがて静香に対しても思いを寄せるようになるが…。


 時間的な都合で朝1回目の上映で観たのだが、朝から観る映画じゃないわい(笑)。金のかかった“ロマンポルノ” だな、こりゃ。出演女優は殆どが脱いだり羞恥プレイをやったりするのだが、そこは「愛の渦」の三浦監督。さほどイヤらしい感じはなく、どちらかというと滑稽な雰囲気が漂う。


 特に、馬渕英里何扮するイツキの放尿プレイや、西岡徳馬と佐々木心音が扮する年の差夫婦の変態覗き見プレイは、悪意すら感じる程である(映像としては面白いのだが)。一応、女性でも観られるソフトポルノなのだろうが、松坂桃李ファンは困惑するのではないか。


 内容が内容だけに際どい場面が満載なので、R18指定なのだが、物や影を上手く使っているためか、意外にもボカシやモザイクは一切無し。因みにこれ、元々は同じ監督・主演による舞台演劇。よくこんなこと舞台でやれたよなぁ… と思うのだが、いったいこれをどうやって舞台で表現したのか。舞台上で濡れ場もあったらしいのだが、映画を観ながらそっちの方が気になってしまった。再演されたら是非、観に行きたいデス。


私の評価…☆☆☆

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2018年4月24日 (火)

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル

ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジェイク・カスダン
脚本:クリス・マッケンナ、エリック・ソマーズ、スコット・ローゼンバーグ、ジェフ・ピンクナー
原作:クリス・ヴァン・オールズバーグ「ジュマンジ」
製作:マット・トルマック、ウィリアム・ティートラー
製作総指揮:デヴィッド・ハウスホルター 他
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):ドウェイン・ジョンソン(楠大典)、ジャック・ブラック(高木渉)、ケヴィン・ハート(伊藤健太郎)、カレン・ギラン(白石涼子)、ニック・ジョナス(KENN)、ボビー・カナヴェイル(黒田崇矢)、リス・ダービー(江原正士)、アレックス・ウルフ(木村良平)、マディソン・アイゼマン(M・A・O)、サーダリウス・ブレイン(武内駿輔)、モーガン・ターナー(水瀬いのり)、コリン・ハンクス(千葉進歩)、メイソン・グッチオーニ(下川涼)、ティム・マシスン(森功至)、マーク・エヴァン・ジャクソン(仲野裕)、ミッシー・パイル(石塚理恵) 他


  〈いい感じにパワーアップして、楽しさ倍増〉


 1995年に公開された「ジュマンジ」の続編で、前作から20年後を舞台に、レトロなテレビゲーム「ジュマンジ」の世界に吸い込まれてしまった4人の高校生が、外見も性別も異なるキャラクターとなって冒険を繰り広げるアクション・アドベンチャー。


 学校で居残りをさせられていた4人の高校生(アレックス・ウルフ、マディソン・アイゼマン、サーダリウス・ブレイン、モーガン・ターナー)が、“ジュマンジ”というソフトが入った古いテレビゲーム機を発見する。早速、プレイしようとキャラクターを選んだ途端、なぜか全員、ゲームの中に吸い込まれてしまう。その上、現実の自分とは身体も性格も、さらには性別までもが異なるキャラに入れ替わっていた。気弱で痩せたゲームオタクの男子は、ムキムキで勇敢な冒険家(ドウェイン・ジョンソン)に。自撮り大好きなインスタ美少女は、まさかのヒゲを生やしたメタボ中年(ジャック・ブラック)という衝撃的な姿に。しかも、彼らの目の前に広がる光景はジャングル。カバ、ジャガー、ゾウ、ヘビ、サイ…。現実世界に生きて帰るには、各自のスキルを使って、難攻不落のステージをクリアするしかない。だが、ライフは3回、使い切ればゲームオーバー。果たして彼らは、ゲームをクリアして、現実世界に戻ることができるのか…?


 これは、めっちゃ楽しい! オリジナルはゲームの世界が現実に召喚されるボードゲームだが、今回は逆に現実世界の人物がTVゲームに取り込まれる仕掛け。しかも、現実世界の時とは真逆の性格を持ったキャラクターに変身する。そして、ゲームが進むにつれキャラクターも成長、エンドロールを迎える頃には、ちょっぴり大人への階段を上っているというのは、この手の映画の王道である。


 一応、続編ではあるが、ストーリー的には前作との繋がりは殆ど無いので、前作を観ていなくても楽しめる。ただ、ジャングルの中に前作でロビン・ウィリアムスが演じたアランが残した“ある物”が現れ、これが結構重要なキーポイントになるので、前作を観ておいた方がより楽しめるのは間違いない。エンディング曲がガンズ・アンド・ローゼズの“Welcome To The Jungle”というのもシャレが利いている。


 本作は全米で大ヒット。世界興行収入記録も9億ドルを超え、このゲームの起源を描くらしい3作目の製作も決定。キャストもほぼ続投とのことで、次回作も楽しみである。


私の評価…☆☆☆☆

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レッド・スパロー

レッド・スパロー
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:フランシス・ローレンス
脚本:ジャスティン・ヘイス
原作:ジェイソン・マシューズ「レッド・スパロー」
製作:ピーター・チャーニン 他
製作総指揮:メアリー・マクラグレン 他
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョエル・エドガートン、マティアス・スーナールツ、シャーロット・ランプリング、メアリー=ルイーズ・パーカー、ジェレミー・アイアンズ、キーラン・ハインズ、ジョエリー・リチャードソン、ビル・キャンプ、ダグラス・ホッジ、サキナ・ジャフリー、セルゲイ・ポルーニン、セバスチャン・ハルク 他


  〈先の読めない心理戦〉


 ジェニファー・ローレンスが妖艶な女スパイを演じるサスペンス・アクション。元CIA工作員という異色の経歴をもつジェイソン・マシューズの同名小説を、ジェニファー・ローレンスとは「ハンガー・ゲーム FINAL: レボリューション」(2015年)以来のタッグとなるフランシス・ローレンスが映画化。


 事故によりバレリーナの道を絶たれてしまったドミニカ(ジェニファー・ローレンス)は、母を守るために自分の意に反して、ロシア政府が極秘裏に組織した諜報機関の一員になることを決意する。自らの肉体を使った誘惑や心理操作などを駆使し、情報を盗み出す女スパイ<スパロー>になるための訓練を受けるドミニカ。やがて、持ち前の美貌と明晰な頭脳で頭角を現したドミニカは、ロシアの機密事項を調査するCIA捜査官ナッシュ(ジョエル・エドガートン)に近づきミッションを実行。ふたりのスパイは互いに惹かれ合いながらも、騙し合いの連鎖へと陥っていく…。


 アメリカ映画なのに、どこかヨーロピアンでアート系映画のような作り。「アトミック・ブロンド」みたいなアクションを期待していたが、心理戦中心の地味な展開に。だから、本国アメリカでは受けなかったのだろう。はっきり言って自分には平凡な内容だったが、ジェニファー・ローレンスは相変わらず美しい肢体を見せつけてくれる(バレリーナにしては肉感的過ぎるが)。ピールのようなもので生きている人の皮を剥ぐ拷問の場面がエグかった! 


 それにしても、ハニートラップ専門の国家諜報機関というのは、旧ソ連時代に実在したらしく、まったくもっておそロシアな国である(笑)。つい先日も、英国で元ロシアスパイが何者かによって毒殺されかけたという事件があったばかり。本作も架空の話ではあるものの、原作の作者が元CIA工作員ということもあってか、妙にリアルだ。ヒロインの叔父を演じるマティアス・スーナールツがプーチンにソックリなのには笑ってしまった。


私の評価…☆☆☆

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2018年4月18日 (水)

PARKS パークス

PARKS パークス
PARKS パークス
劇場:出町座
監督・脚本・編集:瀬田なつき
製作:本田拓夫、久保田傑
製作総指揮:松田広子
音楽:トクマルシューゴ
主題歌:相対性理論「弁天様はスピリチュア」
出演:橋本愛、永野芽郁、染谷将太、石橋静河、森岡龍、佐野史郎、柾木玲弥、長尾寧音、麻田浩、トクマルシューゴ、谷口雄、池上加奈恵、吉木諒祐(THE NOVEMBERS)、井手健介、澤部渡(スカート)、北里彰久(Alfred Beach Sandal)、シャムキャッツ、高田漣、あさみちゆき 他


  〈役者はいいが、映画は不出来〉


 2017年5月に開園100周年を迎えた東京・井の頭恩賜公園を舞台にした青春群像劇。


 吉祥寺・井の頭公園の脇に建つアパートに住む大学生の純(橋本愛)は、最近なにもかもがうまくいかない。恋人と別れ、大学からは留年の通知が届く。なんとか卒業しようとゼミの担当教授・井上(佐野史郎)を訪ねて交渉し、アパートに戻ると、見知らぬ高校生のハル(永野芽郁)が訪ねてくる。亡くなった父親の晋平(森岡龍)について小説を書こうとしていたハルは、晋平が保存していた昔の恋人・佐知子(石橋静河)の手紙を読み、その住所と50年前の写真を頼りに吉祥寺にやってきたのだ。ゼミのレポートの題材になるかもしれないと、ハルと一緒に佐知子を探すことにした純は、アパートを管理する不動産会社の担当者に頼み込み、オーナーの寺田(麻田浩)の連絡先を教えてもらう。二人を自宅に迎え入れた寺田は、佐知子と晋平のかつての友人だった。寺田の情報をもとに佐知子の現在の住まいを突き止めた純とハルは、そこで孫のトキオ(染谷将太)に会うが、佐知子は少し前に脳梗塞で亡くなっていた。数日後、トキオは祖母の遺品の中にオープンリールのテープを見つける。ヤフオクで入手したオープンリールにテープをかけてみると、ノイズまじりに流れ出したのは、若い頃の晋平と佐知子の歌声だった。「君と歌いたい曲がある/それはこんな曲で/僕らの物語は/この公園から始まる……」テープが傷んでいたせいか音は途中で途切れてしまう。「公園ってこの井の頭公園のことだよね」純とハル、トキオは、この曲を完成させようとするが、純は高校生のときギターを触ったことがある程度、ハルはリコーダーが吹けるだけ。音楽スタジオでバイトをしているトキオは機材のセッティングやサンプリングやラップは得意だが楽器は弾けなかった。バンドメンバー探しが始まり、子供たちにピアノを教えていたキーボード奏者(谷口雄)、パンクバンドの紅一点ベーシスト(池上加奈恵)、本業は大工のドラマー(吉木諒祐)、公園で演奏していた謎のギタリスト(井手健介)をリクルートすることに成功。純たちは曲の新しいアレンジに取り組み始める。そんな折、“吉祥寺グッド・ミュージック・フェスティバル”、通称キチフェスの運営に関わっている純の友人でイラストレーターの理沙(長尾寧音)が、フェスに出場しないかと誘ってくる。気おくれする純を説得して、メンバーは出場を決意。曲のアレンジと練習は順調に進み、ついにフェスの当日がやってくる。だが本番の直前、思わぬアクシデントが起きてしまう。60年代の曲を2017年に復活させようとする純たちの試みは、無事に成功するのだろうか…。


 これは京都でも昨年公開されたのだが、観に行くことが出来ず、今回初めて行く京都・出町柳にできた映画館=出町座で、再上映していたので観ることができた。


 はっきり言って映画の出来にはそれほど期待しておらず、橋本愛と永野芽郁目当てで観たのだが、やはり作品は不出来で内容や設定が荒く、とても褒められるものではなかった。恐らく大林宣彦監督の“尾道三部作”みたいなものを目指したのだろうが、到底及ばない凡作である。役者の演技は悪くないので、これは勿体無いなと思う。特に永野芽郁は、本作以降のブレイクを予感させるような輝きで魅了されるのが、唯一の救い。良かったのはそこだけである。


 初めて行った出町座は、出町柳の商店街の中にあり、あまり目立つような建物ではないが、1階が喫茶店になっていて、学生さんを中心に賑わっている。スクリーンは2階と地下にあり、今回は地下のスクリーンだったが、50席くらいの座席数にしてはスクリーンは大きい方で、移転する前の立誠シネマや京都シネマと比べても遥かに見易い。他館との提携が今のところ京都シネマだけなのが不便といえばそうなのだが、ゆくゆくは大阪の単館系とも提携してくれればいいな、と思った。


私の評価…☆☆

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2018年4月15日 (日)

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
劇場:MOVIX京都
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ、ジョシュ・シンガー
製作:エイミー・パスカル、スティーヴン・スピルバーグ 他
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:メリル・ストリープ、トム・ハンクス、サラ・ポールソン、ボブ・オデンカーク、トレイシー・レッツ、ブラッドリー・ウィットフォード、ブルース・グリーンウッド、マシュー・リス、キャリー・クーン、アリソン・ブリー、ジェシー・プレモンス、デヴィッド・クロス、パット・ヒーリー、マイケル・スタールバーグ、スターク・サンズ 他


  〈真の“報道の自由”とは〉


 7000枚に及ぶ最高機密文書=ペンタゴン・ペーパーズ。アメリカ政府がその存在すらもひた隠しにしていたのは一体なぜか? 国民に絶対に知られたくなかった衝撃の事実とは!? 政府を敵に回してまで“報道の自由”を守ろうとした実在のジャーナリストたちの姿を描く人間ドラマ。


 1971年。ベトナム戦争が泥沼化、アメリカ国民の間には疑問や反戦の気運が高まっていた。そんななか、アメリカ国防総省がベトナム戦争に関する経過や分析を記録したトップシークレットである文書、通称“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在をNYタイムズがスクープ。しかし、その後の記事は政府の圧力で差し止められてしまう。アメリカ初の女性新聞発行人として足固めをしようとしていたワシントン・ポストのキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、同紙の編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)らとともに、真実を明らかにすべく奔走。ライバル紙であるNYタイムズと時に争いながらも連携、団結していくが、政府からの圧力はますます強くなり…。


 これはまた、スピルバーグが巧みな演出で楽しませてくれる映画である。本作の舞台となるのはリチャー・ニクソンが大統領だった時のアメリカ。ニクソンといえば真っ先に思い浮かぶのが、ウォーターゲート事件であるが、本作で描かれるのはその1年前の出来事で、ウォーターゲート事件が発覚するきっかけになったといってもいい、ワシントン・ポスト紙によるペンタゴン・ペーパーズの暴露話である。


 ウォーターゲート事件を報道するなかで、世論を動かしていったのが、本作で描かれるワシントン・ポストであり、1976年にはその記者を主役にしてウォーターゲート事件を調査する過程を描いた「大統領の陰謀」(ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン共演)が公開されている。実は、本作のラストで民主党選挙対策本部に忍び込み、懐中電灯をもって何かをしている怪しい集団が映るのだが、これこそがウォーターゲート事件の一部始終であり、恰も「大統領の陰謀」の冒頭に繋がるような映像になっている。少なくともこの2本の映画を連続して観ることで、当時ニクソン政権下のアメリカで何が起きていたのかを知ることができるのである。


 因みに、エンドロール後に、ある女流映画監督の追悼文が記されている。「恋人たちの予感」(1989年)の脚本やトム・ハンクス主演の「めぐり逢えたら」(1993年)の監督・脚本で知られ、6年前に白血病で急逝したノーラ・エフロンである。一見何の関係もないように見えるのだが、元夫が「大統領の陰謀」でダスティン・ホフマンが演じたワシントン・ポストの記者なのだ。ノーラ自身もワシントン・ポストで働いていた過去があり、この点で本作との繋がりがあるわけなのである。さらに元夫との結婚生活は「心みだれて」(1986年)という映画になっており、この映画でノーラを演じているのがメリル・ストリープであり、さらに別のドラマではメリルの実娘が記者時代のノーラを演じているという、縁の深い人物なのである。


 日本も今、公文書管理の在りかたが、大変深刻な問題となっている中、非常にタイムリーな形での公開となっているが、今の日米両政権の行末の暗示なのか、歴史は繰り返されるのかということを頭に入れれば、本作はやはり観ておかなければいけない一本になるのである。


私の評価…☆☆☆☆★

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2018年4月12日 (木)

ヴァレリアン 千の惑星の救世主

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
ヴァレリアン 千の惑星の救世主
劇場:TOHOシネマズ二条
監督・脚本:リュック・ベッソン
原作:ピエール・クリスタン、ジャン=クロード・メジエール「ヴァレリアンとローレリーヌ」
製作:リュック・ベッソン、ヴィルジニー・ベッソン=シラ
製作総指揮:マーク・ギャオ 他
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):デイン・デハーン(日野聡)、カーラ・デルヴィーニュ(沢城みゆき)、クライヴ・オーウェン(大塚明夫)、リアーナ(ゆりやんレトリィバァ)、イーサン・ホーク(咲野俊介)、ハービー・ハンコック(富田耕生)、クリス・ウー(石川界人)、サム・スプルエル(関俊彦)、アラン・シャバ、ルトガー・ハウアー(佐々木勝彦)、エリザベス・デビッキ[皇帝ハバン=リマイの声](斎賀みつき)、バーバラ・ウェバー・スカフ[皇后アロイの声](森なな子)、オーラ・ラパス(黒田崇矢)、エリック・ランパール(水島裕)、ジョン・グッドマン[アイゴン・サイラスの声](楠見尚己)グラント・モニンジャー、ロビー・リスト、クリストファー・スウィンドル[3人共ドーガン=ダギーズの声] (THE ALFEE)、クロエ・ホリングス[アレックスの声](大原さやか) 他


  〈お気楽SFエンタメ映画〉


 「スター・ウォーズ」シリーズに影響を与えたといわれるフランスの人気コミックを、リュック・ベッソン監督が映画化したSFアクション。銀河をパトロールするスゴ腕エージェント、ヴァレリアンが放射能に汚染された巨大宇宙ステーションを危機から救うために奔走する。


 西暦2740年。連邦捜査官のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は宇宙の平和を守る任務に就いていた。銀河をパトロールしていた2人はある日、“アルファ宇宙ステーション”を訪れる。そこは、長い年月を経て拡張を続け、あらゆる種族が共存する“千の惑星の都市”として銀河にその名を知られていた。しかしその深部には邪悪な陰謀が渦巻き、ある“秘密”が宇宙の歴史から抹殺されようとしていた…。果たしてヴァレリアンとローレリーヌは、“千の惑星の都市”と銀河の危機を救うことができるのか…。


 これ、世界的な大コケ作として話題になってしまっているが、結構面白かった。主役2人がミスキャストなんて評価もあるのだが、原作のバンド・デシネを知らん者にとっては関係無い話だし、“SF版007”みたいな感じで楽しめる。「スーサイド・スクワッド」では変な役回りだったカーラ・デルヴィーニュも、きっちり活躍していたし。自分はIMAX・3Dで観たのだが、舞台となるパール星のデザインがとにかく綺麗。ビジュアルに拘った分、ドラマ性が薄くなったのは残念だが、この手の映画は気楽なSFエンターテイメントとして楽しめれば、それで充分。最近のリュック・ベッソンの映画としては、そこそこ面白い映画であった。


私の評価…☆☆☆

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2018年4月10日 (火)

トゥームレイダー ファースト・ミッション

トゥームレイダー ファースト・ミッション
劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ローアル・ユートハウグ
脚本:ジェニーヴァ・ロバートソン=ドゥウォレット、アラスター・シドンズ
原作:スクウェア・エニックス「トゥームレイダー」(コンピュータゲーム)
製作:グレアム・キング
製作総指揮:パトリック・マコーミック、デニス・オサリヴァン、ノア・ヒューズ
音楽:ジャンキーXL
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):アリシア・ヴィキャンデル(甲斐田裕子)、ドミニク・ウェスト(井上和彦)、ウォルトン・ゴギンズ(諏訪部順一)、ダニエル・ウー(中村悠一)、クリスティン・スコット・トーマス(高島雅羅)、デレク・ジャコビ(中博史)、ハナ・ジョン=カーメン(田村睦心)、ニック・フロスト[カメオ出演](茶風林)、ジェイミー・ウィンストン(雨蘭咲木子) 他


  〈より若くてキュートになったララ・クロフト〉


 嘗てアンジェリーナ・ジョリー主演で映画化されたこともある人気ゲームを再映画化したアクション・アドベンチャー。資産家の令嬢である女子大生のララ・クロフトが世界を滅ぼす力を秘めた“幻の秘宝”を封印するために奮闘する。


 資産家の令嬢だが、普段はごく普通の女子大生、ララ・クロフト(アリシア・ヴィキャンデル)。冒険家の父親が遺した彼女へのミッションは、神話上の島に隠された“幻の秘宝”を封印することであった。もしその秘宝が秘密組織に渡れば、人類が滅びるという。世界を救うため、次々に降りかかる謎と幾重にも仕掛けられた罠を突破し、ララは誰よりも早く“幻の秘宝”にたどり着くことが出来るのか…。


 このシリーズはアンジェリーナ・ジョリーのイメージが強いので、アリシア・ヴィキャンデルは似ていないという評価も、ネットを見ていると多いのだが、これは大きな間違い。実は大元となったTVゲームも2013年にリブートされており、それが原作になっている。ゲームファンのコメントなんかを見ると、今作のアリシアは、リブートされたゲームのララ・クロフトにそっくりらしい。


 加えて、アンジェリーナ・ジョリー版の前日譚という位置付けでもあるので、“強い女性”というよりは、百戦錬磨となる前の、むしろ普通の人間っぽい“女性らしい弱さを持った人間”として描かれている。このためアンジー版よりも女性が共感できるキャラになっているのではないか。小柄な体でアクションやっているのもハラハラドキドキものだし、だからといって子供っぽくはなく、弱い故に痛めつけられ発せられる呻き声のハスキーさが、絶妙なバランスとなってより親しみやすいキャラになっている感じがするのである。一応、続編の可能性はラストで示唆されているが、さてどうなることやら。


私の評価…☆☆☆★

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2018年4月 4日 (水)

リメンバー・ミー

リメンバー・ミー
リメンバー・ミー
監督:リー・アンクリッチ、エイドリアン・モリーナ
脚本:エイドリアン・モリーナ
製作:ダーラ・K・アンダーソン
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ジアッチーノ
主題歌:ミゲル、ナタリア・ラフォルカデ「リメンバー・ミー(デュエット)」
日本版エンドソング:シシド・カフカ feat. 東京スカパラダイスオーケストラ「リメンバー・ミー」(英語版のカバー)
声の出演(吹替版声優):ミゲル・リヴェラ…アンソニー・ゴンザレス(石橋陽彩)、ヘクター…ガエル・ガルシア・ベルナル(藤木直人)、エルネスト・デラクルス…ベンジャミン・ブラット(橋本さとし)、ママ・イメルダ…アラナ・ユーバック(松雪泰子)、エレナ・リヴェラ…レニー・ヴィクター(磯辺万沙子)、エンリケ・リヴェラ…ハイメ・カミーユ(横山だいすけ)、パパ・フリオ…アルフォンソ・アラウ(多田野曜平)、
オスカル&フェリペ…ハーバート・シグエンサ(佐々木睦)、事務官…ガブリエル・イグレシアス(チョー)、広場のマリアッチ&グスタヴォ…ロンバルド・ボイヤー(坂口候一)、ママ・ココ…アナ・オフェリア・ムルギア(大方斐紗子)、幼いココ…リベルタ・ガルシア・フォンシ(中村優月)、フリーダ・カーロ…ナタリア・コルドバ=バックリー(渡辺直美)、ロシータ…セレーネ・ルナ(雨蘭咲木子)、チチャロン…エドワード・ジェームズ・オルモス(宝亀克寿)、ルイサ・リヴェラ…ソフィア・エスピノーサ(恒松あゆみ)、出国係官…カーラ・メディナ(森千晃)、ヴィクトリア…ディアナ・オルテリ(冠野智美)、ベルト・リヴェラ&ドン・イダルゴ…ルイス・バルディーズ(西村太佑)、司会者…ブランカ・アラセリ(魏涼子)、セキュリティ…サルバドール・レイエス(松田健一郎)、矯正官…チーチ・マリン(丸山壮史)、入国係官…オクタビオ・ソリス(佐々木啓夫)、ファン・ハノキョーセー…ジョン・ラッツェンバーガー(立木文彦)

以下は日本語版キャストのみ

ロス・チャチャラコス女性メンバー…シシド・カフカ、ロス・チャチャラコス男性メンバー…茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ)、女性マリアッチ…高柳明音(SKE48)、男性旅行者…カイミ、女性旅行者…寺田ちひろ、コーンを持った男性…鈴木拡樹、修道女…安野希世乃
ダンテ…フランク・ウェルカー(日本語版では原語版流用) 他


 〈音楽で紡ぐ家族の愛〉


 死者の国に迷い込んでしまった少年の冒険を描き、第90回アカデミー賞で長編アニメーション賞と主題歌賞の2冠に輝いたファンタジーアニメ。


 ギターの天才少年ミゲルはミュージシャンを夢見ていたが、ある過去の悲しい出来事により、彼の家族には音楽禁止の厳しい掟があった。ギターを弾くどころか、家で音楽を聴くこともできないミゲルは、大好きな家族か、ミュージシャンになる夢を取るか、悩んでいた。そんなある日、ミゲルは、名曲『リメンバー・ミー』を遺した伝説の国民的ミュージシャンで、憧れの存在であるデラクルスの霊廟に飾られたギターを手にする。先祖が家族に会いに来るという“死者の日”に開催される音楽コンテストに出場する決意をしたミゲルがギターを奏でると、先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまう。そこは夢のように美しく、テーマパークのようにワクワクする世界で、祖母の祖母をはじめとする先祖たちのガイコツたちと出会う。だが、生者であるミゲルは早く戻らないと取り返しのつかないことになってしまう。そんなミゲルに、正体不明のガイコツ、ヘクターが手を差し伸べる。陽気だけど孤独なヘクターは、生きているミゲルにある願いを託すため、彼が無事に帰還できる方法を一緒に考える。しかし二人は、ミゲルの一族に隠された驚くべき秘密に気づく。なぜミゲルは、死者たちの世界に迷い込んでしまったのか? すべての謎は、デラクルスの美しいバラード『リメンバー・ミー』に隠されていた…。


 やっぱりディズニー&ピクサー作品にはハズレがない。今回はメキシコのお祭り“死者の日”に起きる奇跡の話。この“死者の日”は、その日に限りご先祖様が現世に戻る事ができるという、日本でいう“お盆”のような行事なのだが、ある理由で音楽を禁じられた主人公が、“死者の国”に行く羽目になり、そこで出会った骸骨男と共に自分のルーツを探す事になる。


邦題の「リメンバー・ミー」は主題歌のタイトルから取ったもので、原題は「COCO」。これだけでは何の事だかさっぱりわからないのだが、これは主人公の曾々祖母の名前なのである。殆どボケちゃって劇中あまり喋らないのだが、実はこのキャラクターが本作の最重要人物。物語の終盤での行動が感動を呼ぶことになるのだ。


 現世での存在が忘れ去られると、死者の国からも消え去る運命のご先祖様たち。自分が生まれた時に現世に居たご先祖様くらいは、忘れてはいけないな、敬わなくてはいけないな、と思わせてくれる映画である。


 僕は今回字幕版を観たのだが、エンディングで流れる主題歌のアレンジも、オリジナル版と日本語版とでは全く違うのも本作の特色のひとつかも。賑やかなシシド・カフカ&東京スカパラ版とは全く逆のしっとり聴かせるデュエットで、こっちもなかなか聴き応えがあった。


私の評価…☆☆☆☆★

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