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2019年7月

2019年7月31日 (水)

空母いぶき

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:若松節朗
脚本:伊藤和典、長谷川康夫
原作:かわぐちかいじ「空母いぶき」(小学舘「ビッグコミック」連載)
製作プロダクション:デスティニー
音楽:岩代太郎
出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、小倉久寛、髙嶋政宏、玉木宏、戸次重幸、市原隼人、堂珍嘉邦、片桐仁、和田正人、石田法嗣、平埜生成、土村芳、深川麻衣、山内圭哉、千葉哲也、加藤虎ノ介、三浦誠己、横田栄司、岸博之、渡辺邦斗、遠藤雄弥、橋本一郎、俊藤光利、山田幸伸、綱島郷太郎、袴田吉彦、井上肇、藤田宗久、横山由依(写真のみ)、中井貴一、村上淳、吉田栄作、工藤俊作、金井勇太、佐々木勝彦、中村育二、益岡徹、斉藤由貴、藤竜也、佐藤浩市 他

 

 

  〈コンビニの場面は笑えるが、蛇足〉

 

 

 かわぐちかいじの人気コミックを、骨太な人間ドラマに定評のある若松節朗が映画化したポリティカル・アクション。謎の武装集団によって領土を占領されるという未曽有の事態に遭遇し、現場へ向かう自衛隊初の航空機搭載型護衛艦いぶきのクルーたちの戦いが描かれる。

 

 

 20XX年、クリスマスイブ前日の12月23日未明。沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸、日本の領土が占領された。海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群を現場に向かわせる。その旗艦こそ、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》であった。計画段階から「専守防衛」論議の的となり、国論を二分してきた《いぶき》。艦長は、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐(西島秀俊)、そしてそれを補佐する副長は、海上自衛隊生え抜きの新波歳也二佐(佐々木蔵之介)。そんな彼らを待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。さらに針路上には敵の空母艦隊が出現。想定を越えた戦闘状態に突入していくなか、政府は戦後初めての「防衛出動」を発令。迫り来る敵戦闘機に向け、迎撃ミサイルが放たれる…。

 

 

 いろんな意味で面白い映画。見応えはあるのだが、原作では中国だった敵国が、映画では実際の地球上には場所すら無い架空の超民族主義国家になっている。まぁ、世界配給を見据えた場合、これは仕方の無いことなのだが、何故か建国から3年程の小国という設定に。オイオイ… そんな小国が中国と同等の軍事力を持つことが可能なのか? 架空の国にしなければいけないとはいえ、設定としてあまりに無茶すぎるのではないか。

 

 

 原作には無いキャラも多い。視聴者目線で分かりやすくするためだろうが、インターネット新聞の新人記者(本田翼)と大手新聞社のベテラン記者(小倉久寛)を、取材目的で空母に乗船させたのは、まだいいのですが、多分にコメディリリーフ的に挿入したコンビニ店長(中井貴一)のパートは、役割として充分機能しているとは言えず、あの部分は無くても良かった。ラストも収拾がつかなくなったのか、同じ原作者の別作品のエピソードを入れるという(実は敵国を中国にできない理由がここにある)、かなり強引な事をやっており、そこだけ異質な感じになっている。

 

 

 ただ、主人公の司令官(西島秀俊)と考え方が少し違う副司令官(佐々木蔵之介)、垂水総理大臣(佐藤浩市)のキャラがしっかり立っているので、人間ドラマとしては辛うじて観られる映画になっていた。やり玉にあげられていた総理のトイレの場面は1分位しかなく、それも手洗いで沢崎アジア大洋州局局長(吉田栄作)と喋っているだけで、漢方薬入り水筒も言われなければ分からない程度の描写しか無かった。批判に晒されるようなものには到底思えず、現実よりしっかりしている(笑)ように見えたのだが… はて、何でだったのだろう?

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年7月25日 (木)

ガルヴェストン

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劇場:シネ・リーブル梅田
監督:メラニー・ロラン
脚本:ジム・ハメット
原作:ニック・ピゾラット「逃亡のガルヴェストン」
製作:タイラー・デヴィッドソン
製作総指揮:パトリック・デイリー 他
音楽:マルク・シュアラン
出演:ベン・フォスター、エル・ファニング、リリ・ラインハート、アデペロ・オデュイエ、ロバート・アラマヨ、マリア・バルベルデ、ボー・ブリッジス、CK・マクファーランド 他

 

 

  〈やるせないクライム・ムービー〉

 

 

 ニック・ピゾラットの犯罪小説「逃亡のガルヴェストン」を「マレフィセント」のエル・ファニング、「インフェルノ」のベン・フォスター主演で映画化。病に冒された殺し屋ロイは、彼を切り捨てた組織に反旗を翻し、傷ついた娼婦ロッキーを連れて逃避行に出る。

 

 

 故郷を捨て裏社会で生きてきたロイ(ベン・フォスター)は、ボスの勧めで病院へ行く。そこで、白く靄がかかった自分の肺のレントゲン写真を見せられ、命の終わりが近いことを悟った彼は、死への恐怖に追い込まれ、苛立ちを募らせていく。ある夜、いつものようにボスに命じられるまま“仕事先”へ向かったロイは、突然何者かに襲われる。組織に切り捨てられたことを知ると、とっさに相手を撃ち殺し、その場に囚われていた若い女(エル・ファニング)を連れて逃げる。ロッキーと名乗る女は、家を飛び出し、行くあてもなく身体を売って生きてきたという。組織から追われる身となった二人は、果てなき逃避行に旅立つ…。

 

 

 フランスを代表する国際派女優のメラニー・ロランが監督を務め、トロント映画祭などで高評価を得たクライムムービー。余命幾ばくもない殺し屋と、体を売って生活する孤独な娼婦の逃避行を、バイオレンス描写を織り交ぜて映し出す。

 

 

 エスケープもののロードムービーなのだが、バイオレンス描写があるわりには、退廃的でどこか長閑なのは女流監督らしいところなのか。ベン・フォスターの小悪党っぷりはよく似合っているのだが、やっぱりエル・ファニングが抜群にいい! この娘は元々演技は上手いのだが、作品毎にどんどん成長している気がする。しかし、子役は何れ大人の役に脱皮しなければいけなくなるのだが、よりによって娼婦役とは…。まぁ、ヌードシーンは無く下着までだったが。ラスト、20年後のエピローグは、何の伏線も回収しない完全な蛇足であり、無い方が良かった。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年7月19日 (金)

居眠り磐音

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劇場:MOVIX京都
監督:本木克英
脚本:藤本有紀
原作:佐伯泰英「居眠り磐音 決定版」
製作:藤村直人(企画・プロデュース)、西麻美、福島大輔
製作総指揮:伊藤響、吉田繁暁
音楽:髙見優
主題歌:MISIA「LOVED」
出演:松坂桃李、木村文乃、芳根京子、柄本佑、杉野遥亮、佐々木蔵之介、奥田瑛二、佐戸井けん太、比留間由哲、和田聰宏、高橋努、荒井敦史、南沙良、ベンガル、桜木健一、水澤紳吾、阿部亮平、永瀬匡、川村ゆきえ、宮下かな子、山本浩司、有福正志、菅原大吉、陣内孝則(特別出演)橋本じゅん、早乙女太一、中村ゆり、波岡一喜、石丸謙二郎、財前直見(友情出演)、西村まさ彦(友情出演)、谷原章介、中村梅雀、柄本明 他

 

 

  〈久しぶりの王道時代劇〉

 

 

 時代小説で知られる佐伯泰英の人気シリーズを松坂桃李主演で初めて映画化した時代ドラマ。不幸な過去を背負い、故郷を離れて江戸で浪人として暮らす男が、巨悪に立ち向かうため、剣を手に取る。

 

 

 人情に厚く、春風のように穏やかで、礼節を重んじる好青年の坂崎磐音(松坂桃李)は剣の達人ではあるが、日向ぼっこで居眠りする老猫のような剣術で、眠っているのか起きているのかわからないことから“居眠り剣法”と呼ばれていた。磐音と幼馴染の小林琴平(柄本佑)、河井慎之輔(杉野遥亮)は江戸勤番を終え、三年振りに故郷である九州・豊後関前藩に戻る。琴平の妹・舞は慎之輔に嫁ぎ、磐音も琴平と舞の妹・奈緒(芳根京子)と祝言を控えていた。ところが、磐音と奈緒の祝言の運びになったとき、舞が不貞を犯したという噂を聞いた慎之輔が、舞を斬ってしまう。それに激昂した琴平は噂を慎之輔に吹き込んだ人物と慎之輔を斬る。琴平は罰せられることとなり、磐音が琴平を討ち取るよう命じられる。琴平を討ち取った磐音は、実の兄を殺した以上、奈緒とは一緒になれないと、彼女を残して脱藩する。すべてを失い、浪人の身となった磐音は江戸の長屋で暮らすようになるが、収入源がなく家賃の支払いも滞ってしまう。見かねた大家・金兵衛(中村梅雀)の紹介で、昼は鰻屋の鰻割き、夜は両替商・今津屋の用心棒として働き始める。穏やかで優しいが剣の腕は立つ磐音は、次第に周囲の人々から頼られる存在になり、今津屋の女中で金兵衛の娘・おこん(木村文乃)からも好意を持たれるようになる。そんな折、今津屋は幕府が流通させた新貨幣をめぐる陰謀に巻き込まれ、磐音は用心棒として悪に立ち向かう…。

 

 

 2007~2017年にNHKでドラマ化もされた「陽炎の辻」の一編を、別キャストで映画化したものである。ただ、こちらの原作はオリジナルに加筆修正を加えた「~決定版」なので、NHKドラマ版とはストーリーが細部で異なるとは思うのだが。関前藩国家老=宍戸文六役はピエール瀧が演じていたが、不祥事で撮り直され奥田瑛二に交代。大悪ではないものの、こっちの方が悪役として貫禄あって良くなっている。

 

 

 ちなみに、本作は松竹映画なので大半を松竹京都撮影所で撮っているのだが、ごく一部が東映太秦撮影所で撮影されている。恐らくクライマックスの花魁道中のシーンがその1つだと思われるのだが、お家取り潰しとなり人生が暗転してしまう主人公の元・許嫁でヒロインの一人である奈緒(芳根京子)が、花魁に身を落としながらも吉原で白鶴太夫として再起を図るシーンは凄く美しかった。本作は興行収入成績が今一つ芳しくないようだが、作品の悪評はあまり聞かず、原作も現在51巻あるので、ドラマ版同様、映画も続編を作ってほしいところである。

 

 

私の評価…☆☆☆☆

 

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2019年7月12日 (金)

オーヴァーロード

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:ジュリアス・エイヴァリー
脚本:ビリー・レイ、マーク・L・スミス
原案:ビリー・レイ
製作:J・J・エイブラムス、リンジー・ウェバー
製作総指揮:ジョー・バーン
音楽:ジェド・カーゼル
出演:ジョヴァン・アデポ、ワイアット・ラッセル、マティルド・オリヴィエ、ジョン・マガロ、ジャニー・タウファー、ピルー・アスベック、ジェイコブ・アンダーソン、ドミニク・アップルホワイト、イアン・デ・カーステッカー、ボキーム・ウッドバイン、エヴァ・マジャル 他

 

 

  〈B級テイスト満載の珍作〉

 

 

 「クローバーフィールド」シリーズのJ.J.エイブラムスが製作を手がけたサバイバル・アクション。第二次世界大戦末期の1944年6月に行われたノルマンディー上陸作戦の裏側で、密命を受けて教会の電波塔の破壊へ向かった連合国軍の兵士たちが、ナチスの恐るべき研究によって生まれた得体の知れない敵と戦う様が描かれる。

 

 

 第二次世界大戦下の1944年6月。ノルマンディー上陸作戦が開始された直後、アメリカ軍の落下傘部隊が侵攻作戦の成功を担う重要な使命を持ち、ナチスに占領されたフランスに送り込まれる。決死の激戦をくぐり抜け生き残った兵士隊は、ナチスの要塞となった教会の塔に潜入し、地下で謎めいたナチスの研究所を発見する。そこで彼らは、これまで誰も見たことのない敵と遭遇する…。

 

 

 タイトルを聞いて、同名の深夜アニメの実写映画化と思ったが、そうではなく、J・J・エイブラムス製作の洋画である。そして、戦争ドラマにホラー映画の要素を加味させた珍作(笑)。ノルマンディー上陸作戦直前、ドイツ軍電波塔の破壊を命じられた空挺部隊の話。電波塔地下には秘密の研究所があり、村人を実験台にして異様な何かを作っている。空挺部隊に白人と黒人兵士が混在しているのは、史実というよりは昨今のポリティカル・コレクトレスなのだろうが、戦争の悲惨さもしっかり描き、克つゾンビ系ホラーのような娯楽としても成り立つという、何というか不思議な映画であった。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年7月11日 (木)

〈午前十時の映画祭10-FINAL〉 八甲田山[4Kデジタルリマスター版](1977年 4K版製作は2018年)

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劇場:TOHOシネマズ二条
監督:森谷司郎
脚本:橋本忍
原作:新田次郎「八甲田山死の彷徨」
製作:橋本忍、野村芳太郎、田中友幸
製作総指揮:大角正、吉田繁暁、津嶋敬介
音楽:芥川也寸志
演奏:東京交響楽団
出演:高倉健、北大路欣也、加山雄三、栗原小巻、加賀まりこ、秋吉久美子、三國連太郎、緒形拳、森田健作、小林桂樹、藤岡琢也、島田正吾、丹波哲郎、前田吟、下條アトム、東野英心、竜崎勝、佐久間宏則、樋浦勉、浜田晃、玉川伊佐男、新克利、神山繁、大滝秀治、山谷初男、菅井きん、田崎潤、浜村純、花沢徳衛、加藤嘉 他


  〈自然の脅威と軍隊組織の不条理〉


 新田次郎の原作『八甲田山死の彷徨』をもとに、大部隊で自然を克服しようとする部隊と小数精鋭部隊で自然にさからわず、折り合いをつけようとする部隊の様子を冬の八甲田山を舞台に描く。


 「冬の八甲田山を歩いてみたいと思わないか」と友田旅団長(島田正吾)から声をかけられた二人の大尉、青森第五連隊の神田(北大路欣也)と弘前第三十一連隊の徳島(高倉健)は全身を硬直させた。日露戦争開戦を目前にした明治三十四年末。第四旅団指令部での会議で、露軍と戦うためには、雪、寒さについて寒地訓練が必要であると決り、冬の八甲田山がその場所に選ばれた。二人の大尉は責任の重さに慄然とした。雪中行軍は、双方が青森と弘前から出発、八甲田山ですれ違うという大筋で決った。年が明けて一月二十日。徳島隊は、わずか二十七名の編成部隊で弘前を出発。行軍計画は、徳島の意見が全面的に採用され隊員はみな雪になれている者が選ばれた。出発の日、徳島は神田に手紙を書いた。それは、我が隊が危険な状態な場合はぜひ援助を……というものであった。一方、神田大尉も小数精鋭部隊の編成をもうし出たが、大隊長山田少佐(三國連太郎)に拒否され二百十名という大部隊で青森を出発。神田の用意した案内人を山田がことわり、いつのまにか随行のはずの山田に隊の実権は移っていた。神田の部隊は、低気圧に襲われ、磁石が用をなさなくなり、白い闇の中に方向を失い、次第に隊列は乱れ、狂死するものさえではじめた。一方徳島の部隊は、女案内人(秋吉久美子)を先頭に風のリズムに合わせ、八甲田山に向って快調に進んでいた。体力があるうちに八甲田山へと先をいそいだ神田隊。耐寒訓練をしつつ八甲田山へ向った徳島隊。狂暴な自然を征服しようとする二百十名、自然と折り合いをつけながら進む二十七名。しかし八甲田山はそのどちらも拒否するかのように思われた。神田隊は次第にその人数が減りだし、辛うじて命を保った者は五十名でしかなかった。しかし、この残った者に対しても雪はとどめなく襲った。神田は、薄れゆく意識の中で徳島に逢いたいと思ったのだが…。


 約2時間50分、特撮ではないホンモノの映像に圧倒されっぱなしだった。この映画、当初は群馬の温泉地で撮影を予定していたらしいのだが、企画を進めていくうちに、

 

“これは現地で撮らないと、意図がしっかり伝わらないのでは”

 

ということになり、実際に事件が起きた場所に近い所で、それも同じような気象条件の元でロケをすることになったようで、そのあまりの過酷さに逃げ出してしまう役者もいたようである。

 

 

 ただ、小説や映画にする上では、史実をそのまま描くことは、どんな題材でも殆ど無い(理由は後述)。史実を調べてみると、映画になる上でかなり美化されている面もあって、複雑な思いになる。

 

 

 映画では青森隊と弘前隊は合同演習したように描かれているが、実際は双方の計画は個別に立案されたもので、たまたま実施期日が一致しただけである。両隊の間に事前の情報交換は無く、高倉健扮する徳島大尉(モデルは福島泰蔵大尉)と北大路欣也扮する神田大尉(同・神成文吉大尉)の間にも交流はなく、酒を酌み交わすシーン等は、全くの創作なのである。しかも、弘前隊は行軍途中で青森隊の遭難を知りながら、救助活動は行わなかったらしい。二次災害を防ぐために福島大尉が判断したようなのだが、同時に部下に箝口令を出していて、結果的に見捨てたのではとの意見もあるようだ。

 

 

 道案内をした村民に対し、弘前隊が敬礼で感謝の念を表すシーンも、創作であり、実際は別れ際に誰一人労いの言葉をかけること無く、豪雪の山中に見捨てたという。その結果7人の村民は自力で村には戻れたものの、中には凍傷にかかり、廃人同様になって若死にした人もいるらしい。

 

 

 “史実を映画化した”とうたっている映画でも、脚色された部分は必ずある。史実をそのまま描いてしまうとそれはドキュメンタリーとなり、エンターテインメントとドキュメンタリーは区別されてしまうからで、業界ではこの手法を“映画的な嘘”という人もいるのだが、たとえ創作であったとしても、当時の軍隊の理不尽さを描くのには充分であり、理不尽を通り越して、人命軽視で相当無茶苦茶なことをやってたんだなと思った。


私の評価…☆☆☆☆☆

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2019年7月 6日 (土)

ラ・ヨローナ~泣く女~

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劇場:MOVIX京都
監督:マイケル・チャベス
脚本:ミッキ・ドートリー、トビアス・イアコニス
製作:ジェームズ・ワン、ゲイリー・ドーベルマン、エミール・グラッドストーン
製作総指揮:リチャード・ブレナー 他
音楽:ジョセフ・ビシャラ
出演:リンダ・カーデリーニ、ローマン・クリストウ、ジェイニー=リン・キンチェン、レイモンド・クルス、パトリシア・ヴェラスケス、マリソル・ラミレス、ショーン・パトリック・トーマス、トニー・アメンドーラ、マデリーン・マックグロウ 他

 

 

  〈生身の人間が演じる霊は、やはり怖い〉

 

 

 メキシコに伝わる怪談で、その泣き声を聞いた者の子どもを連れ去るという女、ヨローナの恐怖を描く、ジェームズ・ワン製作によるホラー。

 

 

 1970年代のロサンゼルス。不可解な死を遂げた子どもの母親が、不吉な警告を発する。しかし、それを無視したソーシャルワーカーのアンナ(リンダ・カデリーニ)と彼女の子どもたちは、ほどなくして女の”泣き声”を耳にする。その日を境に、数々の恐ろしい現象に襲われることとなった家族は、教会に助けを求める。だが、そこで明らかになったのは、呪われたすすり泣く女”ヨローナ”の存在だった…。かつて、村一番の美人と謳われた女性がスペイン人と恋に落ちた。やがて2人は子どもを授かり、幸せな毎日を過ごしていたが、ある日、男は妻を捨て、裕福なスペイン人女性のもとへ去って行った。この裏切りで嫉妬に狂った女は、夫が最も愛する我が子を溺死させてしまう。我に返って後悔と苦しみの末、女は泣きながら自らも川に身を投げる…。それが”ヨローナ”だった。そしてヨローナは今も我が子を探し、彷徨い続けていた。その”泣き声”が聞こえたら、終わりの始まり。ヨローナは、水のある場所に現れる。プールやバスタブはもちろん、トイレでさえも…。果たして、アンナたちは、逃げ場のない恐怖から逃れることができるのか…。

 

 

 ジェームズ・ワンが製作を担当しているということで、「死霊館シリーズ」に属する作品。だが、今までのものとは違い中南米に古くから伝わる怪談「ラ・ヨローナ」がモチーフとなっている。それでも、映画の中盤に差し掛かったところで「アナベル 死霊館の人形」に出てきたペレス神父(トニー・アメンドーラ)が再登場し、一瞬だが“あの人形”も写るので、シリーズと何らかの関与が示唆される。

 

 

 真っ直ぐな母性と歪んだ母性との対決は、Jホラーの「スウィート・ホーム」や「仄暗い水の底から」に似ているのだが、悪霊の弱点の設定が曖昧だったり、元神父の祈祷医がどうにも頼りなかったりと、少々アラが目立つ。それほど強烈な怖さは無いが、霊体ヨローナはCGIではなく生身の人間が特殊メイクで演じており、妙に生々しい。

 

 

 因みに、時系列的には「死霊館」1作目と本作の間になる最新作「アナベル 死霊博物館」が早くも9月20日に日本公開決定。シリーズお馴染みの霊媒師ウォーレン夫妻(パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ)に加え、ヒロインとなる娘役に「ギフテッド」で注目された子役のマッケナ・グレイスが出演している。監督・脚本は「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」のゲイリー・ドーベルマンということで、こちらも公開されたら観に行きたい。

 

 

私の評価…☆☆☆

 

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2019年7月 4日 (木)

シャザム!

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劇場:ユナイテッドシネマ大津
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
脚本:ヘンリー・ゲイデン
原案:ヘンリー・ゲイデン、ダーレン・レムケ
原作:フォーセットコミックス「キャプテン・マーベル」(クリエイター…C・C・ベック、ビル・パーカー)
製作:ピーター・サフラン
音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ
出演(吹替版声優 ※判明しているもののみ):アッシャー・エンジェル(緒方恵美) 、ザッカリー・リーヴァイ(菅田将暉)、ジャック・ディラン・グレイザー(阪口大助)、アダム・ブロディ(小野大輔)、マーク・ストロング(子安武人)、ジャイモン・フンスー(杉田智和)、グレイス・フルトン/ミシェル・ボース(平野綾)、イアン・チェン(宮島依里)、ロス・バトラー/ウェイン・ワード(北田理道)、ジョバン・アルマンド(かぬか光明)、D.J. コトローナ(櫻井孝宏)、フェイス・ハーマン/ミーガン・グッド(遠藤綾)、クーパー・アンドリュース(楠大典)、マルタ・ミランズ(三石琴乃)、ジョン・グローヴァー (内田直哉)、カーソン・マックコーマック(茂木たかまさ)、エヴァン・マーシュ(落合福嗣) 他

 

 

 〈子供向け感は否めないが、シリーズの方向性を変える映画となるか?〉

 

 

 見た目は大人、中身は子どもの異色ヒーローの活躍を描くアクション。

 

 

 身寄りがなく思春期真っただ中の今どきの少年ビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)は、ある日、謎の魔術師の目に留まり、世界の救世主に選ばれる。そして「シャザム!」と唱えるやS=ソロモンの知力、H=ヘラクラスの強さ、A=アトラスのスタミナ、Z=ゼウスのパワー、A=アキレスの勇気、M=マーキューリーの飛行力という6つのパワーを持ち合わせた大人のスーパーヒーローに変身できるように。しかし身体は大人になっても心は少年のままであるため、悪友フレディ(ジャック・ディラン・グレイザー)と一緒になって怪力をそこかしこで試したり稲妻パワーをスマートフォンの充電に使ってみたりと、スーパーパワーをいたずらに使ってしまう。そんな彼の前に魔法の力を狙うDr.シヴァナが出現。さらに7つの大罪というクリーチャーたちが召喚され、フレディがさらわれ、遊んでいる場合ではないことに気づく…。

 

 

 DCコミックが展開する“DCエクステンデッド・ユニバース(DCEU)”の最新作。同時期に公開で盛り上がっている、マーベルコミックによる“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”の「アベンジャーズ/エンドゲーム」と比べると、どうしても小粒感が否めないが、普通に面白かった。

 

 

 今までのDCEU作品のダークな展開からは一転、夜の場面は多いものの、おバカコメディ路線に。今のMCUには出来なさそうな事をやっていて、これがROTTENTOMATO等の映画サイトで評価されている一因なのだろう。

 

 

 エンドロール後のおまけには、次回作のヴィランということなのか、緑の芋虫Mr.マインドが登場。彼がリーダーとなりヴィランが大集合する映画の企画もあるし、後々ロック様が合流するという話もあるので、復調の兆しが見えてきたDCEUとしては、ライバルのシリーズが一段落した今、巻き返しを図れるチャンスであり、これからが楽しみである。

 

 

私の評価…☆☆☆★

 

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